不動産会社の売主物件でトラブル発生?
売主物件に限らず、不動産の売買でトラブルになりやすいのは、そもそもの「契約書」や「重要事項説明書」に関わるもの。多くの方にとって大きな買い物となる不動産の売買は、ベーシックな知識を身につけることはもちろん、後々後悔することのないように、慎重に進めることが大切です。はじめてでも安心して不動産を購入できるように、売主物件でトラブルになりがちなポイントをおさえながら、解説していきます。
重要事項の説明に関するトラブル
「売主物件」とは簡単に言うと、不動産物件を売る人と買う人がダイレクトに取り引きをするのが、売主物件です。買い手にとっては、仲介手数料が発生しない、無償の瑕疵担保責任がついてくるなどのプラスの要素もありますが、しっかりと売主物件の購入にあたっての注意点を把握しておくことも大切です。
個人や不動産会社(売主)が購入予定者(買主)に、物件や取り引き条件に関する説明となる「重要事項説明」にしっかりと目を通すことが、トラブル回避においては重要です。
重要事項の説明には専門用語が使われていることが多いので、スケジュールの余裕を持って読み込むことも大切ですし、わからないことを理解できるまで確認することも大切です。それも不安のある方は、不動産に精通している方と一緒にチェックをすると安心かもしれません。
とくにトラブルが多いので、しっかりとチェックしておきたい項目
・登記や法令上の制限など、物件に関する事項
・手付金、契約解除、違約金などお金に関する事項
売買契約の解除
買主が売買契約解除においてトラブルに巻き込まれるケースとしては、売主が売却を取りやめたケースなどがあげられます。不動産売買契約の解除には、下記の3つの解除方法があり、それぞれ条件が異なりますので、簡単に説明していきます。
それぞれの解除方法に、売主と買主間で取り決めたペナルティが発生する場合がありますので、注意が必要です。トラブルを防ぐためには、「不動産売買契約書」、「重要事項説明書」に記載のある、7個の「契約の解除に関する事項」を把握しておくようにしましょう。
白紙解除
「引渡し完了前の滅失・毀損などによる解除」、「譲渡承諾の特約による解除」、「融資利用の特約による解除」などが該当します。
契約そのものが白紙に戻る解除方法で、手付金なども全額返金されますが、仲介手数料の請求権も消滅することを覚えておくと安心です。
手付解除
「自己都合による解除」が該当します。
手付金を放棄することが条件になりますが、仲介手数料の請求権は消滅しません。
違約解除
手付解除期日後の売買契約の解除などが該当します。
違約金の支払いが条件となりますし、仲介手数料の請求権も消滅しません。
瑕疵担保責任について
複雑なトラブルになることが多いのが、「瑕疵担保責任」に関するものです。買主の誤解によるトラブルも多くあると言われているので、不動産の購入を検討している方は、とくに気をつけておきたい項目となっています。
「瑕疵担保責任」とは、買主が確認できなかった不動産の欠陥または隠れた瑕疵に対して責任を負うというもの。瑕疵にあたるものには、物理的、法律的、心理的、環境的なものがあげられますが、よくあるのは、買主が不動産を売却の際に気がつくことのできなかった、「シロアリ」の問題、「施工不良」、「雨漏り」、「水漏れ」などのトラブルです。
不動産会社が売主となっている中古住宅の場合は、不動産の引き渡しから2年以上の特約が認められている一方で、新築住宅の場合は、10年間の瑕疵保証責任が義務づけられています。また、一般的に、売主が個人の場合は、2~3ヵ月くらいが瑕疵保証責任期間として多くなっています。
トラブル事例から考える不動産会社選びの重要性
誰もが一度は、不動産売買におけるトラブルを耳にしたことがあるのではないでしょうか。そのため、不動産の購入を検討するにあたって、おそらく多くの方が不動産会社選びを慎重にされることと思います。
不動産会社は良い意味でも悪い意味でも、不動産売買のプロ。例えば、悪質な不動産会社の場合、売買契約書に瑕疵担保責任に関するトラブルの元となりやすい「現状有姿で引き渡す」ことを記載していたり、トラブルの際に「瑕疵担保責任の免責」を主張してくることもあります。
不動産会社に、「万が一」のことを想定した質問を投げかけることで、優良な会社かどうかの判断材料とすることもできますので、不動産会社を選ぶ際には、担当営業者などとじっくりと腰を据えて話す時間を設けることが必須と言えるでしょう。
また、大手の不動産会社などでは、不動産会社が独自に保証サービスを展開していることもありますので、不動産購入費用だけにフォーカスしてしまうのではなく、購入に関わるさまざまな面まで考慮して検討することをおすすめします。
まとめ
売主物件には、「仲介手数料がかからない」、「2年ほどの瑕疵担保責任が無償でついてくる」、「値引き交渉がしやすい」などのメリットがあるため、とても魅力的な不動産の購入と言えるでしょう。
しかし、そのメリットを逆手に取っている悪質不動産会社もゼロではありませんし、不動産売買に関する知識が十分でないことから、小さなトラブルに巻き込まれてしまうことも考えられます。
後で失敗に気づき後悔することのないようには、自分なりに不動産売買の知識を育んでいくことも大切です。そして、心から信頼できる不動産会社を選び、ぜひ憧れのマイホームへの一歩を踏み出していただければと思います。